Bar

ダウンロードのみ遅いフレッツ速度 問題をIPv6(IPoE)+DS-Liteで解決してみた

つい先日までフレッツ光のダウンロード速度のみ非常に遅い状況が続きました。
今回は、ダウンロード速度のみ遅いフレッツ速度 問題をIPoE方式のIPv6接続+DS-Liteで解決した内容をメモ。
当初はルータの設定など敷居が高く感じましたが、IPv6を導入して正解でした。

ダウンロード速度のみ遅い状況とは

数か月前から定額動画配信サービスの動画がブツブツ途切れる事が多くなってきました。
当初はそんなものかな?と思っていたものの徐々にブツブツ途切れる頻度が高くなってきたため、現状を確認した結果、
  • ダウンロード速度のみ3~15Mbpsと非常に遅い
  • アップロード速度は高速
  • 時間帯はあまり関係ない
事が分かりました。

フレッツ光の回線品目に変更すればいいのか?と思い、フレッツ光ネクスト ギガラインタイプ(1Gbps)に変更するも全く改善されませんでした。

IPoE方式のIPv6接続+DS-Liteを導入

契約プロバイダへ理由を問い合わせた結果
上位ネットワーク事業者が行っている公平制御により速度制限が原因
との回答があり、契約プロバイダとしても打つ手がないとの事でした。

これ以外として、NGN内の網終端装置(PPPoE方式のIPv4/IPv6接続)が混雑するケース(IIJmio 公式ブログより)もダウンロード速度が低下するため、PPPoE方式を諦めてIPoE方式のIPv6接続を導入する事としました。

導入に際して
  • 契約がオンラインから出来る事
  • IPv4/IPv6どちらも使える事
  • 所有ルーター YAMAHA RTX1200が使える事
の3条件に合致するプロバイダを選定、最終的にIIJmioの「Fiberaccess/NF」を契約しました。
契約に必要なモノ
  1. DS-Lite対応ルータ
  2. NTT東西 フレッツ光ネクストの契約
  3. フレッツ・v6オプションの申し込み
  4. フレッツ光ネクストの開通案内
    • お客様ID(COPから始まる11桁)
    • アクセスキー
  5. クレジットカード
上記内容は全てクリアしていたため、会員登録~サービス利用開始までの所要時間は約20分と短時間で完了しました。
オンラインで契約・退会出来るのは非常にありがたいですね。

導入前後のネットワーク

以前のプロバイダはPPPoE方式のIPv4接続なので網終端装置を経由(画像上の経路)してIPv4 Internetにアクセスしていました。
※図には書いていませんが、契約ISPには上位ネットワーク事業者がいます。
IPoE方式のIPv6接続+DS-Liteではユーザーが接続先(IPv4 or IPv6)を意識する事なく自動的に通信経路が変動します。

IPoE方式のIPv6接続+DS-Liteの実速度

IPoE方式のIPv6接続+DS-Lite導入から約1か月経過、定期的に速度や体感速度を確認した限り
  • ダウンロード速度は常時80-200Mbps
  • ダウンロード速度はIPv6 > IPv4
  • 時間帯に関係ない
  • ブラウザや定額動画サービスの体感速度は非常に快適
といった結果となります。
プロバイダ料金は約900円※増加しましたが、ダウンロード速度が明らかに快適になったので導入は正解でした。
※税込1296円から2160円
IPv6の場合


IPv4の場合


YAMAHA RTX1200のコンフィグ例

DS-Lite対応ルータは、YAMAHA RTX1200を使用しました。
最低限のコンフィグは以下の通りとなります。
なお、セキュリティ フィルターなどは記載していないので適時設定してください。
  • RA(ルータ広告)装置はRTX1200とする
  • ローカル(LAN1)のDHCPv6 サーバーはRTX1200とする
  • Oフラグを有効にしたRAを広告する


DS-Liteのサーバー公開が出来ない問題はどうする?

IIJ公式ブログ「てくろぐ」のDS-Liteに関するブログ記事によると、DS-Liteを使うデメリットとして「サーバーを外部に公開する事が困難」があります。
DS-Liteでは、家庭内に設置されるブロードバンドルータでNATを行わず、CGNだけでNATを行うようにしています。こうすることで、NATによる問題の発生を最小限に抑えようとしているのです。
一方、デメリットもあります。従来の方式では家庭内に置かれたブロードバンドルータの設定は各人が勝手に変更することができたので、いわゆる「ポート開放」設定を行い、自宅内にサーバを設置したりも可能でした。ですが、DS-Liteではそのような設定はできないので、自宅内にサーバを置くことは困難です。ただ、前述の通りCGN環境であってもNATが1回だけですむため、ゲームやIP電話で使われているNATを越えるための仕組みは同じように利用できます。
この問題を解決する方法を模索した結果、
IPoE方式のIPv6接続+DS-Liteと一緒にPPPoE方式のIPv4接続も同時利用する
事で解決しました。

PPPoE方式のIPv4接続を別途使う=費用増加となるのでは?」と疑問を持ったのでIIJmioのサポートへ問い合わせた結果、料金は変わらないとの事。
Fiberaccess/NFは費用追加をすることなくIPoE方式のIPv6接続+DS-Liteと一緒にPPPoE接続方式のIPv4接続も利用できる


RTX1200のコンフィグには以下の2点を設定しました。
  1. 「Fiberaccess/NF」のPPPoE方式のIPv4接続の設定を追加
    • サーバーを外部に公開するため(IPマスカレード(NAPT)を使う)
  2. 静的ルーティングを追加
    • ルーターで通信を振り分けするため
#2の静的ルーティングですが、ip filterを使ってルーティングしています。
  • 外部へ公開するサーバー群のサブネットはPPPoE方式のIPv4接続ゲートウェイを通過
  • それ以外のサブネットはIPoE方式のIPv6接続+DS-Liteのゲートウェイを通過
設定したコンフィグは以下の通りです。


ハードウェアの用意や設定など敷居は高くえますが、フレッツ光のダウンロード速度が遅い問題に直面している方はIPoE方式のIPv6接続を検討してみてはどうでしょうか。
参考文献