新しいMicrosoft Azure Backupの料金体系についてまとめました

以前からアナウンスされていたMicrosoft Azure Backupの新しい料金体系が公式サイトに掲載されています。
Windows Server 2012 R2 Essentials等で利用しているMicrosoft オンライン サービスだけに「非常に気になっていた」のでAzure Backupの新料金体系について情報をまとめてみました
なお、料金についてはAzure サポート チームに確認した上で説明しています。

2016.10.19 加筆
  • GRSのデータ Geo レプリケーション料に関する説明を追加
  • 例2の試算に誤りがあったので修正
  • 分かりにくい説明文を修正

Microsoft Azure Backup とは

Azure Backupは、オンプレミスのデータをオフサイトにバックアップするデータ保護サービスです。
概要は先日登壇した時の資料をご覧ください。
尚、資料は3月6日時点のAzure Backupについて説明しています。

新料金体系のAzure Backup

2015年4月1日以降、Azure Backupの料金体系が新しくなります。
http://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/backup/

(現在)2015年3月31日までの料金体系

2015年3月31日までは、圧縮されたデータをAzureに転送し保存されたデータ量によって料金が決まります。
オンプレミスのサーバーやクライアントの転送前のデータ量ではありません。
  • 5GB/月まで
    無料
  • 5GB以上/月
    1GBあたり 20.40円/月
Azure上に保存されたデータ量が15GBの場合は無料分を差し引いた10GBに対し料金が発生します。

(これから)2015年4月1日以降の新しい料金体系

4月1日からのAzure Backupを調査した限り、2015年3月31日までのAzure Backupの料金計算とは全く異なりました。
保護インスタンスという課金単位
保護インスタンスとは、Azure Backup で使用される課金単位です。
保護するインスタンス当たりの料金は、Auzre に保存されるデータ量によって変化します。
  • 50GB未満
    510円/保護インスタンス
  • 50 ~ 500GB
    1,020円/保護インスタンス
  • 500GB以上
    500GB毎に1,020円を加算
また、保護するインスタンスの数はAzure Backup エージェントをインストールしたコンピューターの数や仮想マシンの数などから計算できます。
ブロック BLOB ストレージはLRSとGRSから選択
バックアップ データは、ブロック BLOB ストレージに格納されます。
ユーザーは、2種類のBLOB ストレージを選択できるようになりました。
※下記説明は、「Microsoft Azure Storage の概要」の文言を引用しております。
  • LOCALLY REDUNDANT STORAGE (LRS)
    LRS は、1 つのリージョンの 1 つの施設内で 3 回複製されます。
    LRS では、データは通常のハードウェア障害から保護されますが、1 つの施設の障害からは保護されません。
  • GEOGRAPHICALLY REDUNDANT STORAGE (GRS)
    GRSは、データがプライマリ リージョン内で 3 回複製され、プライマリ リージョンから数百マイル離れたセカンダリ リージョンでも 3 回複製されます。
    そのため、最も優れたレベルの持続性が実現されます。
料金計算ツールでGRSを選択すると「データ geo レプリケーション」項目が表示されます。
レプリケーション料金が別途発生する点を注意が必要です。
GB単価が非常に安い
ストレージの利用料金は、ブロック BLOB ストレージのLRSとGRSのGB単価から計算します。
2015/4/1時点で公表されているGB単価ですが、保存されたデータ量が1TB未満/月の場合、
  • LRSのGB単価は、2.45円
  • GRSのGB単価は、4.90円(LRSの倍)
になります。
詳細は下記リンクを参照してください。
http://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/backup/
フロントエンド サイズの採用
2015年3月31日までのAzure Backupの利用料金は、圧縮されたデータ量にGB単価をかけて計算していました。
4月1日からは、フロントエンド サイズ=圧縮される前のデータ量を元に料金を計算します。
料金の計算式
以上の変更内容を計算式にしたものが下記になります。
Azure Backup の料金※ × 保護するインスタンスの台数 + 保存されたデータ量 × ブロック BLOB ストレージの単価 (LRS or GRS)
※「保護インスタンスという課金単位」欄の保存されたデータ量ごとの料金

式を見ていただいた通り、2015年3月31日までに比べて複雑化しています。
そこで、2つのシナリオを元に予想される金額を計算してみました。
両シナリオともに、ブロック BLOB ストレージはLRSを選択したと仮定します。
説明画像の
  • PIは、保護するインスタンス(Protected Instance)にかかる料金
  • BSは、ブロック BLOB ストレージ(BLOB Storage)にかかる料金
を示します。
例1 Windows サーバー 1台をバックアップした場合
  • サーバーは、1台
  • バックアップの全データ量は、30 GB
この条件の場合
  • 保護インスタンス(PI)は、1
  • フロントエンド サイズは、30GB
  • ブロック BLOB ストレージ(LRS)のGB単価は、2.45円
以上より予想される料金は 583.5円 になります。
2015年3月31日までの料金体系で計算すると612円(30 GB × \20.40)になり、新料金体系は約 29円 安くなります。

例2 Windows サーバー 1台、Windows クライアント 4台をバックアップした場合
  • サーバーは、1台
  • クライアントは、4台(#1,#2,#3,#4)
  • バックアップの全データ量は、1,590 GB
    • サーバーは、1,000 GB使用
    • クライアント #1は、500 GB使用
    • 他クライアントは、一律30 GB使用
この条件の場合
  • 保護インスタンス(PI)は、5
  • フロントエンド サイズは、1,590GB
  • ブロック BLOB ストレージ(LRS)のGB単価は、2.45円
となり、この情報から保護インスタンスとストレージの料金は
  • 全ての保護するインスタンスの料金は、4,590円(\1,020x2 + \1,020x1 + \510x3)
  • 保存されたデータに対する料金は、3895.5円(1,590 GB × \2.45)
になります。
以上より予想される料金は 8,485.5円 になります。
2015年3月31日までの料金体系※に比べ 約24,000円安くなります。
※32,436円(1,590 GB × \20.40)

新旧料金の違い

新しい料金体系はどの程度使用すればお得になのか?試算しました。
条件は以下の通り。

  • リージョンは東日本
  • アクセス層はホットを指定
  • 価格レベルはBasic
  • データの冗長性はLRSとGRS
  • GRSのデータ Geo レプリケーション料(\9.18/GB)は今回は含まない

データ量は、低コストでバックアップを行いたい中小企業を想定し、50 GBまでを計算します。
試算した結果、
  • LRSの場合は、29 GB以上
    ※GB単価 2.45円
  • GRSの場合は、33 GB以上
    ※GB単価 4.90円
になると新料金体系の方が安くなります。
保存されるデータ量が大きければ大きいほど料金面で恩恵を受けられるようになっている事がわかります。

ユーザーが選択できる事=素敵なこと

上記表を見ていただければすぐにわかりますが、LRSに少しの金額を上乗せするだけでGRSが利用できます。
先に述べた通りGRSは以下の特徴があります。
データがプライマリ リージョン内で 3 回複製され、プライマリ リージョンから数百マイル離れたセカンダリ リージョンでも 3 回複製されます。
そのため、最も優れたレベルの持続性が実現されます。
例えば、保存されたデータ量が 40GB/月 の場合、LRSとGRSの差は約100円/月です。
約100円でデータの複製数が倍になり、信頼性が向上します。
※GRSは上記金額以外にデータ Geo レプリケーション料(\9.18/GB)が別途かかります。

ユーザーがバックアップ データの重要さをどう認識するか次第ですが、今までと異なりユーザーが選択できるようになった点は非常に素敵だと考えています。

保存するデータ量よって「現在よりも高くなる」場合があるので、バックアップ対象のデータを一度精査してもいいかなと思っています。
手軽に利用できるAzure Backupを賢く使ってみてくださいね。

参考サイト

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